”マキネッタ”というものをご存知だろうか?
どことなく”マトリョーシカ”と名前の響きが似ているが、ロシアの民芸品とは少し違う。(というかだいぶ違う)
コーヒーが好きな人なら一台は持っておきたいおすすめのアイテムだ。
目 次
日本でいう急須
日本ではあまり馴染みのないマキネッタだが、オシャレの聖地イタリアの家庭では一家に一台ほぼ確実にあるという直火式エスプレッソマシン。つまりはコーヒーを抽出するアイテムなのだ。
エスプレッソのおさらい
エスプレッソの名前は聞いたことあるが、改めて言われるとどんなコーヒーかイメージできない方も多いと思うが、一言で言うと『圧力をかけて旨みを凝縮したコーヒー』
カフェとかで、たまには違うコーヒーを飲みたいと思い、どんなんかわからんけど名前がカッコいいし通っぽいので注文してみると、恐ろしく小さいカップで出されて心の中で「ちっさっ!!!」と突っ込んでしまう、料金は普通のコーヒーと同じぐらいなのになんで?と思うあのコーヒーを思い出してもらえればわかると思う(若かりし頃の実話)
そもそもエスプレッソの語源は、espresso=急行。
素早い抽出で出来上がったコーヒーを意味する。
よくある焙煎したコーヒーはお湯で薄めて飲むので、量は多めだがサラッとしているのに対し、エスプレッソは圧力をかけて豆の旨みを絞り出すイメージなので量こそは少量になってしまうが、とても濃厚で美味しいコーヒーが出来上がる。
まさに手間暇かけた特別な一杯と言ったところ。
ちなみに、本場イタリアでは”コーヒー”と注文すると、エスプレッソが出てくるみたい。(普通のコーヒーを飲みたい場合は、”アメリカーノ”と注文する必要があるそう)
正確にはモドキ
こう言ってはなんだけど、マキネッタで作るコーヒーは実はエスプレッソではない。正確にはモカコーヒーになる。
その違いは気圧の違い。
デロンギのような全自動エスプレッソマシンだと、コーヒー豆に圧力をかけてコーヒーを抽出する際かかる気圧は9気圧もの圧力を出せるのに対し、直火式のマキネッタでは1〜2気圧しかかけることができない。
マキネッタでのイメージ
エスプレッソの定義では9気圧以上で抽出したコーヒーがエスプレッソと呼ばれるので、マキネッタで抽出したコーヒーは厳密にはモカと呼ぶのが正しい。
マキネッタであるメリット
味的には本格的なエスプレッソマシンには負けるが、もちろんマキネッタの強みだって多々ある。
価 格
なんと言っても価格帯が全然違う。
先ほど例に挙げたデロンギの全自動コーヒーメーカーなどは安いやつでも10万円を超えてくるが、マキネッタだとカップ数にもよるけど5千円ぐらいで買えてしまう。(最近3COINSでも販売したみたい)
場所を取らない
全自動コーヒーメーカーはそれなりの大きさになるので置き場所を選ぶが、マキネッタは小型かつ、分解もできるので使ったらしまっておけるから部屋を圧迫しない。
どこでも楽しめる
全自動コーヒーメーカーを使うのには当然ながら電力が必須。
さらに前項であげた通り据え置き型なので家でしか使えないが、マキネッタはガスバーナーなどを使うことによりアウトドアにだって楽しめる。
おすすめのマキネッタ
おすすめのマキネッタは?と言われたら、やはりBialetti(ビアレッティ)社のマキネッタ。
ビアレッティはイタリア発のトップブランドエスプレッソメーカーである。
その中でも2大人気シリーズである『モカエクスプレス』か『ブリッカ』を選んでおけば間違いない。
モカエクスプレスとブリッカの違い
見た目的にはとてもよく似ている両者。
構造的にもほぼほぼ一緒。
一目でわかる見分け方としては、モカエクスプレスは全身がアルミ加工になっているが、ブリッカは下部が黒い仕様となっている。
見た目だけの違いなの?と思いがちだが、実は抽出部の構造が違う。
ブリッカは抽出口にバルブがある事により、モカエクスプレスよりも1気圧多い状態になるので、クレマが発生しやすく美味しいコーヒーを抽出することができる。
エスプレッソの液面に浮かぶきめ細かい泡のこと。
イタリア語でクリームを意味し、エスプレッソの美味しさを左右する。
ただし、マキネッタでは気圧が低いので、泡の強度はどうしても弱くなる。
モカエクスプレスよりも美味しいコーヒーを入れることができるが、ブリッカは『じゃじゃ馬』を異名を持つ代物。そして、モカエクスプレスよりも値段が少し高い。
乗りこなせれば恐るるに足らず
ブリッカはコーヒーを美味しくできる代わりに少しだけコツがいる。
コツといってもそんな難しいことではない。
- タンピングをしない
(豆を上から押し固めること) - タンク部と上部をしっかりと閉める
- 水量を守る
- 弱火で加熱する
- 火を消すタイミング
上から4つは説明書通りにやるだけなので問題はないと思うが、強いていうなら最後の火を消すタイミング。『ブッシャァァァァーーーー!!!』と激しい音が鳴り出したら火を止めるようにすると良い。ここで消すタイミングを無視するとコーヒーが上部から溢れコーヒーの海ができる。
自分も一度だけ失敗してやらかしたので注意したい。
お手入れ方法
少し話が前後してしまうが、重要なことなのでこのタイミングでマキネッタ全般のお手入れ方法について触れさせてもらう。
結論から言うと、マキネッタ使用後は洗剤を使って洗ってはいけないと言うこと。
日本人にしたら「え?」と思うかもしれないが、本場イタリアでも洗剤は使わず水洗いのみで行っている。
これはマキネッタがアルミニウムで作られているというところからです。
マキネッタを買ってすぐにでもコーヒー飲みたい!!とやりたいところですが、推奨するやり方としては、マキネッタで普通に2〜3回コーヒーを作って飲まずに捨てるところから始まります。
コーヒー豆には油分があるため、これをすることによりマキネッタ内部に油分のプロテクターを作り、金属臭をなくすことが出来ます。
勿体無いですがね・・・・。
なので、せめてどうでもいいような豆でやるとか、賞味期限が切れた豆で行うとダメージが少ないかな?
流れをまとめると
- マキネッタで普通にコーヒーを抽出
- 飲まずに全部捨てる(2〜3回繰り返す)
- マキネッタ本体が冷えたら水洗いをする
※洗剤はNG(指で擦るだけでも普通に綺麗になる) - 水分をとり、自然乾燥させる
あとは無駄にコーヒーを捨てることなく、普通にコーヒーを飲んでOK。
ただし、使用後はくれぐれも洗剤はNG。
どうしても気になる場合は、未使用時に限り洗剤を使って軽く洗うのもあり。
我が家も初回前に洗剤で軽く洗って使用した。
水洗いのみにすることで、純粋に長くマキネッタを楽しむ為もあるが、先ほども話した通りコーヒー豆には油分がある為、水洗いをすることでコーティングを壊すことなく、さまざまなコーヒー豆の油分が蓄積されて、その家庭でしか出せない味になるんだそう。そう考えるとなんだか特別感が出て個人的にはよりコーヒーを楽しめるような気がする。
実際の流れ(準備と豆の紹介編)
参考までに、どんな感じでコーヒーを作るか載せるので参考にしてみてほしい。
今回使うのは愛用しているブリッカ(4カップ用)で行う。
上記は全バラシした状態。
図解であった通り、下部は水タンク
実は数年前にモデルチェンジがあったブリッカ。
昔はこの水の分量も目視でやらないとダメだったが、新型モデルには計量カップがついてる。(特殊圧力バルブ部分もスマートになったよ!)
この計量カップで180ccの水をタンクに入れるだけでOK
水を入れたらフィルター部を被せ、コーヒー豆をすり切りでセット
コーヒー豆は”細挽き”のものを使う。
これはこだわりじゃなくて推奨。
通常のエスプレッソなら”極細挽き”が正しいんだけど、それは先ほどから話している電動のエスプレッソマシンなどの場合。
マキネッタで極細挽きを使うとフィルターで目詰まりを起こしてしまう可能性があるため推奨されていない。
お店で豆を引いてもらう際は「エスプレッソ用で」というと、極細挽きにしてしまう場合があるので、あらかじめ「細挽きで」とお願いしたほうが無難。
ちなみにマキネッタで使用するおすすめのコーヒー豆は、カルディの『エスプレッソブレンド』だ。
お店もたくさんあるし、値段もコスパが高い。
自分なんかはカルディの周年セールを狙って数袋買っている。
年に一度コーヒー豆が半額で買える日。
周年セールは各店舗ごとで違うので、うまく利用するとしょっちゅう半額でコーヒー豆が手に入ってしまうお得すぎるイベントなので活用しない手はない。
どこの店舗で周年セールを行うかは公式サイトで簡単に調べられるのでこまめにチェックしたい。
”細挽きで”と伝えるのも忘れない
またはilly(イリー)のエスプレッソ豆もおすすめ。
カルディよりは少し割高感があるが、味もさらに美味しくなるし、クレマも発生しやすい(と言われている)
豆をセットしたら、あとは上部と下部をしっかりと閉めて準備完了。
と言いたいところだが、念の為ガスコンロを確認してほしい。
ブリッカを置いてみて、ちゃんと固定されているかを。
今回使っているブリッカは4カップ用なので、下部が少し大きいのでギリギリ問題ないレベルだが(ちょっと危ない気もする)お使いの環境によって五徳が合わない場合がある。
ちょっと怪しい場合はガスバーナープレートも準備したほうがいいかも。
マキネッタだけにとらわれず、アウトドアでもあったら便利なアイテム。
コンロにこのように置くだけで安定感が全然違う。
実際の流れ(抽出の様子編)
ブリッカのセッティングが終わったら、あとは火にかけて待つだけ。
ここで大事なのは弱火で行うこと。
目安としては、火がブリッカの下部からはみ出ないこと。
火が大きすぎると抽出時にコーヒーが溢れてしまったり、取手が溶けてしまう危険性があるので注意したい。
コーヒーができるまで約7分間。
だんだんと抽出されるコーヒーの様子を見ていると、コーヒーのいい香りに包まれる贅沢な時間が始まる。
約5分経過ぐらいで圧力バルブから1滴目
(通常は蓋を閉めるが今回は見やすいよう蓋を開けている)
抽出量が少しずつ増えて円が出来上がると大一波がくる
この段階は大一波なのでまだ火は止めない
この辺で激しい『ブッシャァァァー!』がくるので
音が鳴ったら火を止める
あとは最後の抽出が終わるのを見届ける
いい感じのクレマもできて美味しそうに出来上がり
コーヒーの抽出待つ時間ってなんだか贅沢で幸せを感じる。 pic.twitter.com/U3Ne1P7mu5
— けーごさん (@KEIGO_tyoiyuta) 2023年5月13日
ブリッカ内にできた抽出されたコーヒーにはクレマたっぷりだが、圧力が弱いためコップに入れる際に、どうしてもせっかくできたクレマが少し散ってしまうのが残念なところだけど、普通のコーヒーとは違い濃厚で美味しいコーヒーができる。
エスプレッソと同じで苦味も強いので、抽出したコーヒーをバニラアイスにかけて”アフォガード”にしたり、牛乳でミルクフォームを作って”マキアート”を楽しんだりと色々できる。
ちなみに私も絶賛マキアート練習中なので、見せれるレベルになったら解説記事なんかもかけるように頑張りたい。
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